モハベ / Mojave
濃褐色の地に、鍵穴や涙滴のような黄色〜クリーム色の体側模様が入るBEL系モルフ。2コピーのスーパーでは白色主体に変わります。
このモルフについて
モハベとは
モハベ(Mojave)は、濃い褐色の地と黄色〜クリーム色の模様、その中に見える淡い抜けが特徴の、不完全顕性モルフです。1コピーでも色柄に変化が現れ、2コピーのスーパーモハベでは白い体を中心とする表現へ大きく変わります。
ブルーアイリューシスティック(BEL)コンプレックスに属し、レッサーやルッソとの組み合わせも白色系の完成形につながります。ただし、このグループの組み合わせがすべて一様な純白になるわけではありません。
モハベの楽しみ方は、白い完成形を作ることだけではありません。GHIなどとの組み合わせでは柄と明暗差を残し、クラウンのプロジェクトでは潜性形質の発現にモハベを加える方向もあります。白くしたいのか、色と柄を見せたいのかで、親の選び方が変わります。
【C:繁殖者・検査提供者の解説】
資料区分:A=査読研究、B=大学・獣医等の専門資料、C=作出者・検査機関・繁殖者の一次資料、D=二次資料。
特徴・見分け方

当店の販売掲載個体:販売名「モハベ ルッソ het クラウン poss サークル ストレンジャー ピンストライプ」(♀・国内CB)。possの対象範囲は本文の注意をご確認ください。
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体側の形と明暗差を見る
モハベ単体では、体側の明るい模様に鍵穴や涙滴にたとえられる形が見られます。濃い部分は深い褐色、明るい部分は黄色〜黄緑がかった色やクリーム色になり、個体によって暗色部の淡い抜け、いわゆるブラッシングも目立ちます。
明るい個体から暗い個体まで幅があるので、色だけで決めず、体側模様の形、背中の抜け、頭部を合わせて見ます。複合モルフではこれらの目印自体が変わります。
スーパーモハベの頭部
スーパーモハベは白い体と青い眼を基本としながら、頭頂に灰色〜紫がかった色、体にごく淡い模様が残る例があります。頭に色が残ることは知られた表現ですが、その濃さだけで遺伝構成を確定することはできません。
掲載写真はモハベ単体ではない
当店の販売個体83は『モハベ ルッソ het クラウン poss サークル ストレンジャー ピンストライプ』として掲載された複合例です。写真では淡い体と、頭部に残る濃い色を確認できます。この姿をモハベ単体やスーパーモハベの標準像として紹介しません。
hetクラウンはクラウンの発現を意味しません。また、possがどこまでの名称にかかるかは原文だけでは確定できないため、後続形質をすべて確定扱いにしません。
【C:作出者・繁殖者の説明/当店販売記録と提供写真】
The Snake Keeperの解説を掲載したRalph Davisの記録
当店の暗色コンボ掲載例
販売個体1は「GHI シナモン モハベ het クラウン」のオス・国内CBです。写真では褐色の地、黒褐色の縁取り、背中に沿って途切れながら続く淡黄色の模様が見られます。複数形質の例であり、各部分を一つのモルフの作用へ分離しません。Clownは保因表示で、Clown発現の写真ではありません。
【C:当店の販売表示・実写真】掲載個体1
遺伝・アレル関係
1コピーと2コピーを区別する
モハベは不完全顕性として整理します。通常アレルとモハベを1つずつ持つ個体は柄のあるモハベ、モハベを2つ持つ個体はスーパーモハベです。古い資料のCo-Dominant/Co-domという表記は、そのまま「共顕性」と訳さず、本図鑑では表現の違いに即した用語を使います。
同じ座位の組み合わせ
育種上、モハベとレッサー、バター、ルッソなどはBELコンプレックスの同じ座位のアレルとして扱います。モハベ/ルッソはその座位に両者を1つずつ持つ複合ヘテロ接合体であり、スーパーモハベとは構成が違います。
モハベ/ルッソの親から子へ渡るのは、この座位ではモハベ側かルッソ側のどちらかです。2つが必ずセットで渡るわけではなく、同じ座位にモハベ・ルッソ・レッサーを独立した3要素として追加することもできません。
育種上の関係と検査結果を分ける
ProHerperにはモハベを含む検査が掲載されています。ただし、検査名があることと、原因変異や作用機構がすべて公開論文で確定していることは別です。複合個体では検査対象の変異、コピー数の報告、陰性で否定できる範囲を確認します。
【C:繁殖者の遺伝解説・検査提供者の公開情報】
作用・表現型への影響
色を変え、模様の見え方を変える
モハベ1コピーの作用は、写真や繁殖記録では、暗色部の褐色化、淡い抜け、体側模様の変化として説明できます。同じモハベでも、組み合わせる形質によって暗い部分を残す方向にも、白い体へ向かう方向にも進みます。
スーパーモハベや特定のBELコンボでは色と柄が大きく減少し、別の座位の形質が入っていても、外見から判別しにくくなることがあります。「白いから追加形質を持たない」とは判断しません。
BEL研究で示されたこと
Kumsiri・Kanchanaphum(2026)は、BELに関係する候補遺伝子としてEDNRBを報告しました。脱皮殻のDNAを用いたqPCRの研究で、モハベ固有の原因変異を配列で確定した報告ではありません。著者も、疑われる欠失を配列やコピー数の解析で確認する必要を述べています。
この結果を「モハベでは特定の色素細胞が消失することが確定した」「すべてのBELが同じDNA変異」と読み替えません。繁殖でのアレル関係、外見の作用、分子機構の証拠は区別します。
【A:BELの候補遺伝子研究/C:繁殖者の表現記録】
他遺伝子との相互作用・コンボ

当店の販売掲載個体:GHI シナモン モハベ hetクラウン(♂・国内CB)。3形質の表現とクラウンの保因を区別します。
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モハベ/レッサー:白い完成形
モハベとレッサーを同じ個体にそろえるとBELになります。1コピーのモハベの黄色と褐色を強める目標とは異なり、全体を白色系へ変える組み合わせです。スーパーモハベとは遺伝構成を分けて記録します。
モハベ/ルッソ:白色系の別構成
Graziani Reptilesには2005年の作出記録があります。当店の販売個体83もこの2形質を含む販売名です。ただし、販売名にはほかの形質とposs表記があり、写真から両者だけの効果を切り分けることはできません。
GHIモハベ:柄を残す方向
GHIとモハベの組み合わせは、繁殖者Markus Jayneのコレクションにも記録されています。白色系とは別に、暗色部と明るい模様の配置を楽しむ候補です。成長に伴う色の変化も含め、実際に残したい個体の背中と体側を比較します。
クラウンへ加える
クラウン発現にモハベを重ねる計画では、モハベがあるだけでクラウンは出ません。両親のクラウン保有状況を確かめ、BELへ向かう組み合わせを避けて柄を見る設計にします。販売個体83のhetクラウンは、完成したモハベクラウンの写真例には使いません。
【C:繁殖者の実例・当店販売記録を基にした組み合わせの整理】
繁殖での使い方

モハベの観察・構成・親選びを整理した説明図です。
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白い個体を残すなら
モハベ単体を起点に、モハベ/レッサーを狙うなら構成を確認したレッサー、モハベ/ルッソを狙うならルッソを相手に選びます。頭に色が残るスーパーモハベを含めて比較したいなら、モハベ同士という別の計画にします。
BELとだけ書かれた親を選ばず、どの2つのアレルで白くなっているのかを確かめます。白さの順位より、次世代へ何を渡す親なのかが計画の土台になります。
GHIモハベを残すなら
モハベ単体と、別のBELコンプレックス形質を持たないGHIを候補にします。すでにGHIモハベを使う場合も、相手に追加のBEL系統が入ると完成像が変わるため、目的の暗色部と柄を保てる構成を先に整理します。
販売個体83からクラウンへ進めるなら
この雌についてhetクラウンの根拠を確認したうえで、BELコンプレックスの形質を追加しないクラウン発現の雄を候補にします。母からモハベかルッソのどちらが伝わったかを分けて記録し、クラウンが発現した子の中で目標の構成を確認します。
掲載情報では2026年7月生まれの国内CB雌です。この提案は将来の親選びであり、現在の繁殖適齢や体調を認定するものではありません。親・作出者とpossの範囲を確認できるまでは、不確実な形質を計画成立の条件に数えません。
以上は遺伝関係を基にした計画例です。目的の子が1クラッチに必ず得られることや、同じ見た目になることは保証しません。
【C:実例・検査情報から組み立てた親選び】
健康・繁殖上の注意
頭に残る色と健康を混同しない
スーパーモハベの頭頂に残る灰色〜紫がかった色は、外見の記録に見られる特徴です。それだけで疾患や異常とは判断しません。白い体の程度や頭色と、摂餌、成長、眼の状態などの健康評価は別に扱います。
BEL全体へ眼の報告を広げない
検査提供者ProHerperや繁殖者資料では、スーパー・レッサー/バターに眼が張り出して見えるbug eyesとの関連が記されています。この記述を、そのままスーパーモハベ固有の問題や、すべてのBELに同じ頻度で生じる問題へ置き換えることはできません。
今回確認した資料から、モハベ単体の特定の健康問題や、その発生率を示す十分な調査は確認できませんでした。問題がないという保証ではなく、数値化できる根拠がないという意味です。
親候補では左右の眼、体形、摂餌と成長の記録を個別に確認します。眼の左右差や突出など異常が疑われる場合は、写真だけで無害と判断せず爬虫類を診療する獣医師へ相談します。
【C:作出者・繁殖者・検査提供者の記述。発生率調査ではない】
歴史・由来
2000年の繁殖記録
Ralph Davisのサイトに掲載されたThe Snake Keeper本人の説明では、モハベは1999年に地元の卸業者から入手した個体をもとに、2000年に初めて飼育下で繁殖されたとされています。この年は飼育下での繁殖の記録であり、変異が自然界に初めて現れた年ではありません。
スーパー体とBELコンボへ
同ページでは、Morph Kingsが2004年にモハベ同士から最初のスーパーモハベを作出したと記載しています。Graziani Reptilesの年表にも同年のスーパー体とモハベ/レッサー、翌2005年のモハベ/ルッソが載っています。
単体の色柄を楽しむ段階から、スーパー体と同じコンプレックスの組み合わせを比較する段階へ発展した流れが分かります。現在はGHIなどとの色柄コンボも扱われ、白色系と柄を残す方向を分けて考える基礎モルフになっています。
【C:作出者の説明を掲載した記録・繁殖者年表】
不完全顕性(不完全優性)Incomplete Dominant
1 コピーでも見た目に出て、2 コピー揃うと「スーパー体」と呼ばれる別の見た目になります。業界で長く「共優性(Co-Dom)」と呼ばれてきた型です。
参考資料
- CBel ball python complexProHerper
- CBall Python Morph: Blue Eyed LeucisticsTom / Northwest Reptiles ・ 2015
- CGenetic tests for reptilesProHerper
- ADetermination of the candidate gene responsible for BEL (Blue Eye Leucistic) expression in the ball python (Python regius)R. Kumsiri; P. Kanchanaphum ・ 2026
- CMutations: Base and Designer MutationsGreg and Jacki Graziani / Graziani Reptiles
- CBall Python Morph: MojaveTom / Northwest Reptiles ・ 2015
- CMojave: The MatrixThe Snake Keeper; Ralph Davis ・ 2004
- CGenetics 102: Dominant genes and the Punnet squareTom / Northwest Reptiles ・ 2014
- CGHI MojaveMarkus Jayne Ball Pythons
- Cモハベ ルッソ het クラウン poss サークル ストレンジャー ピンストライプ(販売83)AniLover / アニラバ
- CGHI シナモン モハベ het クラウン:当店販売個体1アニラバ
