ピンストライプ / Pinstripe
背中の左右の縁に沿い、盛り上がった鱗と白〜クリーム色が線状に続く表現名。線のつながり方によりフルとパーシャルを呼び分けます。
- 項目の種類
- 表現名
- 遺伝形式
- 未確定タップで解説
- 別名/旧称
- Pinstripe
このモルフについて
資料の読み方
【A】査読論文、【B】大学・獣医等の専門資料、【C】作出者・繁殖者・当店の一次資料、【D】図鑑・登録資料等の二次資料です。資料の種類と、個々の説明の確かさは別です。ここでは繁殖者の観察、遺伝モデル、外見の呼称を区別します。
背面の両縁を走る鱗の列
ピンストライプ(Pinstripe)は、背中の左右の縁に並ぶ盛り上がった鱗と、それを縁取る色に注目したクレステッドゲッコーの特徴です。背中の中央に一本線があるという意味ではありません。Pangeaも鱗の構造と、その上の模様色を組み合わせて説明しています。【C】Pinstripe
線の完成度と背中の中身
左右の線がどれだけ続くか、線の内側にどのような柄があるか、体側にどれだけ模様があるかは分けて観察できます。同じピンストライプでも、すっきりした背面と、複雑な体側模様を持つ個体では印象が違います。
特徴・見分け方

当店の販売掲載個体:ホワイトピンストライプ エンプティバック(♀・CB)。背面とピンを別々に観察する複合例です。
詳しく見る
FullとPartial
線が連続するものをFull、途切れるものをPartialと呼び分けます。Fringemorphsも、頭側から尾の付け根へ線がつながらないものをPartialと説明しています。【C】形態の呼び分け
写真で確認する四点
・左右それぞれの線が始まる位置と終わる位置
・肩、胴中央、腰で線が途切れる箇所
・鱗の隆起と、その上の白・クリーム色の強さ
・背面中央の模様と、線のすぐ下の暗色帯
「95%」などの数字は血統比率でも遺伝子の保有率でもありません。測り方が書かれていなければ、左右を合算したのか、一方だけを評価したのかも分からないため、数字だけで比較しません。真上の写真に斜めからの写真を添えると、色と鱗の立体感を区別しやすくなります。
遺伝・アレル関係
遺伝する特徴と、選抜で整える線
Foundation GeneticsではPinstripeを顕性〜不完全顕性の繁殖モデルで扱っています。一方、線の連続性や太さには選抜と他の特徴の影響を認めています。これは繁殖者の整理であり、この資料だけで原因遺伝子の同定や全血統共通の分離比まで確定したとは扱いません。【C】Foundation Genetics Part 2.1
Fullをホモ接合体、Partialをヘテロ接合体と写真だけで決めることはできません。販売名としての完成度と、検証された遺伝情報を別欄に残すのが適切です。
また、選抜で線を整えられることと、遺伝性がないことは別です。「単純な一遺伝子ですべて説明できる」「すべて非遺伝的」のどちらにも寄せません。
作用・表現型への影響
輪郭を強調する見え方
ピンストライプは、背面と体側の境界を線として見せる特徴です。比較では、線の幅、隆起、色、連続性を別々に記録します。太い白線でも一部が途切れる個体、細くても左右ともつながる個体は、異なる方向の表現です。
見え方から仕組みへ飛躍しない
白い線が目立つことだけで、特定の色素細胞の増加や移動を断定しません。背面を明るくする別の模様、暗い地色、撮影方向の光沢も見え方に関わるためです。撮影時は白飛びを避け、隆起した鱗の形が読める露出を選びます。
他遺伝子との相互作用・コンボ
体側の柄と組み合わせる
PangeaのPinstripe一覧にはTricolor Pinstripeなども掲載されています。線の連続性、地色と模様の配色、体側の模様量という異なる観察軸を併記した例です。【C】Pangeaの個体分類
Reverse Pinstripeは線の下を確認
Reverse Pinstripeは、通常のピンの下に沿う暗い帯を指す呼び方です。盛り上がった鱗そのものとは分けます。【C】Reverse Pinstripe
Empty Backを併記した個体
Empty Backという名称が付く場合は、背面の内側の表現を別に確認します。「背中の内側」と「両縁の線」を分けて紹介すると、複合表記が読みやすくなります。名称だけで背面全域の無模様や、特定の遺伝子型まで補いません。
当店の複合表現の例
公開個体No.63は「ホワイトピンストライプエンプティバック/♀/CB」として掲載されています。写真では黄〜クリーム色の背側、クレスト沿いの淡い線、灰褐色の体側に黄斑が確認できます。複合表現の例であり、ピンストライプ単体の標準写真としては扱いません。生年・親情報は掲載内容から補いません。【C】当店No.63
繁殖での使い方

ピンストライプの観察・構成・親選びを整理した説明図です。
詳しく見る
まず線のどこを改善したいか決める
左右の連続性を目標にするなら、親候補を真上から見て、肩から腰まで途切れの少ない個体を選びます。片親の腰で線が細くなるなら、相手は腰まで線が明瞭で、成長したきょうだいにも同じ傾向がある個体を優先します。
白さを足す場合
白い線を太くしたいのか、暗い背面との対比を強くしたいのかを先に決めます。全面的に明るい背面を入れると、線自体が太くなったのか背景との境界がぼやけたのかが分かりにくくなるため、親と子で同じ評価項目を使います。
残す子の選び方
孵化時だけで選び切らず、同じ成長段階の左右・背面写真を並べます。線の切れ目を図に記録し、頭部の形、成長、血縁情報も一緒に比較します。選抜の実務提案であり、特定の組合せでFullを保証する交配表ではありません。
健康・繁殖上の注意
鱗の列と傷を区別する
ピンの一部が途切れて見えるときは、元からの模様か、傷や脱皮の残りが重なったものかを過去写真でも確認します。外見を揃える目的で鱗を触って剥がす、削るといった処置は行いません。
繁殖候補は体調も独立して評価
Fullという呼称は健康保証ではありません。成長履歴、摂餌、体形、過去の繁殖負担などを色柄と別に確認します。併記された遺伝モルフの注意事項がある場合は、ピンストライプの完成度とは別に検討します。
歴史・由来
古くから選抜されてきた特徴
Foundation Geneticsは、Allen Repashyによる初期の記述と『Rhacodactylus: The Complete Guide』での定義を紹介しています。これは呼称の記述史であり、一頭の突然変異個体から始まったと断定するものではありません。【C】記述史
現在も「線」と「柄」を分けて観察
Pangeaの2024年Pixel報告は、自社で見た背面の線状模様と、Pinstripeの隆起した鱗列を区別しています。線に見える色があるだけで同一の構造と判断しない姿勢は、通常の個体を観察するときにも参考になります。【C】The Pangea Pixel Story
未確定Unproven / Unknown
遺伝形式がはっきり分かっていない、または当店で確認できていないモルフです。新しい繁殖結果によって分類が変わる可能性があります。
参考資料
- CPinstripe collection descriptionPangea Reptile LLC
- CCrested Gecko MorphsFringemorphs
- CFoundation Genetics: Part 2.1Anthony Vasquez・Jessica Vasquez・Tom Favazzaほか繁殖者共同執筆 ・ 2023
- CThe Pangea Pixel StoryKevin Johnson / Pangea Reptile LLC ・ 2024
- Cホワイトピンストライプエンプティバック 個体No.63アニラバ(AniLover)
