アニラバANIMAL LOVERS / FUKUOKA
ボールパイソン

HGW / Hidden Gene Woma

黄褐色の地にバンド状の模様が現れる不完全顕性モルフ。略称HGW。ウォブルと、スーパー体Pearlの致死報告に注意が必要です。

遺伝形式
不完全顕性(不完全優性)タップで解説
Super / Homo
あり パール(Pearl)
別名/旧称
HGW・HG Woma・Hidden-Gene Woma・ヒドゥンジンウォマ・ヒドゥンジーンウォーマ・ヒドゥンジンウォーマ
最終確認日
2026-10-18

このモルフについて

ヒドゥンジーンウォマ(Hidden Gene Woma、略称HGW)は、黄褐色から金色の明色部と、整理されたバンド状の模様が見どころのボールパイソンのモルフです。

不完全顕性として扱われ、1コピーでも色柄に変化が現れます。ウォマ(Woma)とは名前が似ていますが、仕入れ・繁殖記録では別の形質として区別します。見た目だけで置き換えず、親情報や作出者の記録も確認します。

HGWではウォブルの報告があり、2コピーのスーパー体「パール(Pearl)」には致死・成育不良の報告があります。色柄と併せて健康・繁殖上の注意も確認してください。

特徴・見分け方

黄褐色・金色の明るい部分と暗褐色の柄が対比し、体側の模様が背中へつながって帯のように見える個体がいます。通常のエイリアン模様の内側の暗色斑が減り、柄がすっきり見える傾向もあります。

地色の濃さ、帯の太さやつながり方、頭部の模様には個体差があり、ほかのモルフが重なると印象も変わります。単独の特徴や一枚の写真だけでHGWの有無を確定せず、血統・親個体・繁殖記録と照合します。

遺伝・アレル関係

HGWは不完全顕性として管理します。1コピーの個体でも表現が現れ、2コピーのスーパー体はパール(Pearl)と呼ばれます。ただし、パールには致死・成育不良の報告があり、健康なスーパー体を狙う形質としては扱いません。

HGWを1コピー持つ個体と、HGWを持たない個体の交配では、HGWの伝達は理論上それぞれの卵で50%です。実際の一腹の頭数が必ず半々になる意味ではありません。ほかの遺伝子の伝達は別に考えます。

HGWを、潜性モルフの見た目に出ないhetと同じ意味では使いません。ProHerper LabsはHGWとWomaを別々の検査項目として案内しています。外見での識別が難しい場合は、検査対象や対応系統を検査機関に確認します。

作用・表現型への影響

HGWは色と柄の両方の見え方を変えます。明色部の黄褐色・金色と暗色部の対比に加え、柄の減少やつながり方の変化が外観に影響します。

同じHGW表記でも、地色や柄の残り方は個体や組み合わせで異なります。明るさや模様の少なさを一定量だけ加える形質ではなく、ほかのモルフと重なった全体の表現として確認します。外観の変化だけから、特定の色素胞や原因遺伝子の働きを断定することはできません。

他遺伝子との相互作用・コンボ

【レオパード・イエローベリーとの組み合わせ】
NERDはレオパード・HGW・イエローベリーを含む個体を直接掲載しています。複数の形質が重なり、体側の柄の込み入り方や暗色部と明色部の対比が見どころになります。

コンボの写真で見える柄や発色のすべてをHGWだけの作用とは判断しません。構成モルフをそれぞれ記録し、単体や親個体との比較で見え方を確認します。健康上の注意は、ほかのモルフが加わった場合にも確認が必要です。

繁殖での使い方

繁殖では、まず親個体のHGWの有無と、ほかに含まれる形質を整理します。HGWを伝える場合も、繁殖可能な体格・健康状態と、孵化後の飼育先を確認して計画します。

HGW同士の交配では、理論上25%で2コピーのパールが生じ得ます。パールには致死・成育不良の報告があるため、当店ではHGW同士の交配を勧めません。これは各卵に対する理論確率であり、生存して孵化する割合の予測ではありません。

ウォブル等の症状が見られる個体は、繁殖の可否より先に状態の評価と飼育上の配慮を優先します。組み合わせを変えれば健康上の問題が必ず解消する、とは考えません。

健康・繁殖上の注意

【ウォブル】
HGWでは、頭の揺れ、頭や首の不自然な傾き・ねじれ、姿勢の制御や採餌の乱れなど、ウォブルと呼ばれる症状の報告があります。程度や観察場面には個体差があり、短時間に症状が見えないことだけで将来も出ないとは保証できません。

【パールの生存性】
スーパー体のパール(HGWの2コピー体)には致死・成育不良の報告があります。健康なスーパー体の作出を前提にHGW同士を交配しないでください。

【飼育と確認】
採餌、移動、飲水、通常の姿勢を保てているかを観察します。症状や変化がある場合は無理なハンドリングを避け、爬虫類を診療する獣医師に相談してください。神経症状には感染症等の別の原因もあり、モルフ名だけで診断しません。

補足:Schrenkらの2022年プレプリント表1はHGWのウォブルとPearlの致死性を既報の問題として整理しています。一方、同研究でCT・MRI検査をしたのはスパイダーと野生型であり、HGWの内耳異常を直接実証した研究ではありません。

歴史・由来

HGWはHidden Gene Womaの略称です。ProHerper Labsが運営するWorld of Ball Pythonsでは、Kevin McCurley氏/New England Reptile Distributors(NERD)を最初の作出者として紹介しています。現在もNERDはHGWを含む個体を取り扱っています。

名称にHidden Gene(隠れた遺伝子)とありますが、その語だけを根拠に、別の形質が必ず付属しているとは判断しません。HGWを一つの形質として記録し、グラナイト等の追加要素は親や作出者の情報が確認できる場合に分けて記録します。

不完全顕性(不完全優性)Incomplete Dominant
1 コピーでも見た目に出て、2 コピー揃うと「スーパー体」と呼ばれる別の見た目になります。業界で長く「共優性(Co-Dom)」と呼ばれてきた型です。

参考資料

お店にいるHGW