バナナ / Banana
黄〜オレンジ色と淡紫色の取り合わせが特徴。成長につれて黒褐色の小さな「そばかす」が現れることがあり、色や点の残り方に個体差があります。
- 遺伝形式
- 不完全顕性(不完全優性)タップで解説
- 別名/旧称
- Banana・Coral Glow・コーラルグロー
このモルフについて
バナナとは
バナナ(Banana)は、黄~橙色とラベンダー~淡紫灰色の取り合わせ、成長につれて現れる黒褐色の小さな斑点が親しまれているボールパイソンのモルフです。通常の黒褐色の印象が大きく変わるため、色彩の変化を楽しむ入口にも、クラウンやパイボールドの模様を別の色で見せる素材にもなります。【C:繁殖者の形態説明】Northwest Reptiles
コーラルグロウとの関係
Coral Glowは、別の繁殖系統から広まった呼称です。繁殖の扱いではBananaと同じ形質・同じ遺伝子座として扱われ、独立した二つのモルフを重ねる「Banana+Coral Glow」という計算はしません。ただし、同じ形質として扱えることと、両系統の原因塩基配列が完全に一致すると実証されたことは別です。【C:繁殖上の扱い】Ultimate Exotics
1コピー体をバナナ、2コピー体をスーパーバナナと呼ぶ不完全顕性の形質です。さらに、オス親の由来と子の表現・性別の組合せに偏りが出る点が重要です。「male maker/female maker」はその偏りを表す繁殖用語であり、オス・メスが必ず得られるという保証ではありません。
根拠の区分
【A】査読論文、【B】大学・獣医等の専門資料、【C】作出者・繁殖者・検査機関などの一次資料、【D】登録図鑑などの二次資料。資料の区分と、個々の主張が証明された範囲を分けて読みます。
特徴・見分け方

当店の販売掲載個体:パステル レッサー キャリコ バナナ クラウン possイエローベリー(♂・国内CB)。イエローベリーは未確定です。
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黄色と紫色、そして暗色点
単体では、明るい黄~橙色の模様と淡い紫~灰紫色の部分が見どころです。黄色の強さだけでなく、紫色の残り方、模様の境界、頭部と胴体の色の違いを比べます。繁殖者の写真・記述では、成体に黒褐色の小斑点が現れることも紹介されています。【C:実個体の形態説明】Ultimate Exotics
そばかすは成長後まで見る
黒い点はフレックル、そばかすなどと呼ばれます。ベビー時の写真だけでは、その後の点の数や紫色の残り方は分かりません。同じ個体の成長写真を並べ、撮影時期と照明を確認するのが確実です。【C:成長に伴う形態の記述】Northwest Reptiles
点の多さだけで系統、性別、makerを見分けることはできません。複数モルフが入ると色や模様が変わるため、「点が少ない=スーパー」「点がない=バナナではない」とも決めません。
スーパーバナナの確認点
スーパーバナナは、バナナを2コピー持つ個体です。査読研究でもCoral Glowのホモ接合体は1コピー体と外見を区別できると記されていますが、黒点の有無を全個体に通用する診断基準として検証した研究ではありません。【A:スーパー体の存在と遺伝形式】Mallery・Carrillo(2016)
スーパーの表記は、淡い色や少ない黒点だけで付けず、両親の構成と繁殖記録を確認します。他モルフで淡色化した1コピー体との取り違えにも注意します。
遺伝・アレル関係
不完全顕性と性関連を分けて理解する
バナナは、1コピーでも表現し、2コピーではスーパー体となる不完全顕性の形質です。古い資料にあるco-dominantの表記を、そのまま厳密な意味での共顕性とは訳しません。
2016年のCoral Glowの交配解析は、表現と性別との連鎖を支持し、XX/XY型と組換えで説明できるモデルを提示しています。原因遺伝子・変異そのものを同定した研究ではありません。【A:交配データと遺伝モデル】Mallery・Carrillo
male maker/female makerは何が偏るのか
・male maker:そのオスから生まれるバナナ表現の子が、主にオスになる傾向
・female maker:そのオスから生まれるバナナ表現の子が、主にメスになる傾向
ここで見ているのは、バナナ表現の子の性別です。クラッチ全体がオスだけ、メスだけになるという意味ではありません。研究では例外に相当する子も得られており、性別100%の保証には使えません。バナナのメスを親とする場合も、これらのオスの通称をそのまま当てはめません。【A:解析対象の区別】同論文
血統情報は推定、繁殖記録は確認材料
父由来か母由来かはmakerを考える手がかりですが、組換えや両親ともバナナを持つ交配があるため、短い販売名だけで決めません。親のIDと構成、どちらからバナナを受け継いだと判断したか、実際の子の表現と性別を確認します。未検証なら「未確認」と残します。
スーパー体を親にすると、通常の遺伝モデルではすべての子にバナナのアレルを渡します。これは、すべての子がスーパーになる、希望する性別になる、あるいはコンボの中で常に外見判定できるという意味ではありません。【C:スーパー体を用いた繁殖計画例】Lowcountry Reptiles
作用・表現型への影響
色の変化と、その仕組みを分ける
バナナでは、黄橙色と淡紫色の取り合わせ、後から現れる暗色点を観察できます。しかし「黒色素が完全になくなる」「紫色色素が増える」といった細胞・色素の仕組みは、外観写真だけでは分かりません。暗色点があることも、特定の酵素の活性を測定した証拠にはなりません。
2016年の研究は、Coral Glowの原因遺伝子と原因アレルが未同定であると明記しています。性との連鎖を示した結果を、色素合成経路の解明と混同しません。【A:研究の射程】Mallery・Carrillo(2016)
新しい色素研究も、対象モルフを確認する
2026年の査読論文は、白斑量の異なるパイボールドでTFECの発現量を比較した研究です。本文にBanana/Coral Glowの写真や未解明の色彩への言及があっても、Bananaの原因をTFECと証明したものではありません。【A:対象モルフと測定内容】Sophonnithiprasertら(2026)
2026年10月8日までに今回確認した公開文献の範囲では、Bananaの原因変異や、そばかすが増える分子機序を確定できませんでした。原因遺伝子名を推測で補わず、繁殖で分かる遺伝と、組織・分子の研究で分かる作用を区別します。
他遺伝子との相互作用・コンボ
クラウン:模様を組み替えた上で色を変える
Banana Clown/Coral Glow Clownでは、クラウンの頭部・背中・体側の模様が、バナナの色彩の中でどう見えるかを比べます。Justin Kobylkaは2016年の作出例として、Leopard Coral Glow Clown、Coral Glow Spotnose Clown、Coral Glow Batmanを公開しています。Batmanの構成はLeopard+Spotnose+Clownで、これにBanana/Coral Glowを加えたものがScarecrowと呼ばれます。【C:作出者の実例・構成】JKRの2016年Clownコンボ
通称だけでは追加モルフの有無が分かりません。「Fire Scarecrow」「Pastel入り」など、販売・繁殖の記録には構成要素も残します。
パイボールド:白い場所と色のある場所を分ける
Banana Piedは、白斑と黄橙色の有色部の対比を楽しむ組合せです。白斑の面積と、有色部に残る模様・色を別々に見ます。Parpart’s Pythonsの繁殖記録には、Banana Piedの親Chaquitaと、Banana Piedを含む子の記録があります。【C:親と子の掲載記録】Parpart’s Pythons・bp-25-25
エンチ:単体との模様の違いを見る
Banana Enchiは、バナナの色にエンチを重ねた実例です。DM Exotic Petsは繁殖経験のあるBanana Enchiのオスを写真付きで掲載しています。【C:繁殖者の保有・繁殖個体】DM Exotic Pets
選ぶ際は黄色の強さだけでなく、体側模様のまとまり方や線の残り方を単体と比較します。Enchiを入れれば黒点がなくなる、といった保証にはしません。
アニラバの掲載例
掲載個体3の正式名は「パステルレッサーキャリコバナナクラウンpossYB」。オス・国内CBとして掲載されています。写真では黄橙色の胴体、淡褐色の小模様、頭頸部の淡い紫灰色~クリーム色を確認できます。【C:当店の表示・写真】掲載個体3
複数モルフが重なった一個体の実例です。各色をバナナ単独の効果として切り分けず、possYBはYellow Bellyの可能性を残す未確定表記として扱います。黒点が少なく見えてもSuper Bananaとは判定しません。
繁殖での使い方

バナナの観察・構成・親選びを整理した説明図です。
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最初に「色・模様・残したい性」を決める
バナナの繁殖計画は、単にモルフ数を増やすより、成体で残したい色と模様、次世代で必要な親の性別を決めると整理できます。種親の成体写真、親ID、構成の根拠、makerの確認状況をそろえます。
Banana ClownからScarecrowへ
まずBanana Clown、Leopard Banana Clown、Scarecrowの実例を比較し、クラウンの模様をどれくらい細かくしたいかを決めます。Scarecrowが目標なら、必要なのはBanana/Coral Glow、Leopard、Spotnose、そして視覚発現するClownの組合せです。【C:完成像の比較】JKRの作出例
たとえばBanana ClownとLeopard Spotnose Clownの組合せは、必要な要素を両親でそろえる設計です。目標の子が一度の繁殖で必ず得られるわけではありません。Clownを持たない相手を使う場合、Clown側は次世代の保因計画になります。視覚発現、確定het、poss hetを混同しません。Spotnoseを含む両親同士に変更する際は、Super Spotnoseも生じうる点を別途確認します。
Banana Piedを目標にする
白斑との対比が目標なら、Banana PiedとPiedを親候補にすると、Piedの表現を維持しながらバナナ入りを狙う構成になります。Piedを視覚発現した親とhet Piedの親を使う計画は、それと同じ内容ではありません。どちらの親からPiedのアレルを受け取れるかを記録します。
親写真は白い面積だけで選ばず、有色部が十分に見えるものを比較します。バナナの黒点や成体色を重視するなら、有色部の成長記録も必要です。
Banana Enchiで比較しやすい子を残す
色と模様の組合せを少ない構成で比較したいなら、BananaとEnchiをそれぞれ確かめられる親から始める選択肢があります。Banana Enchiを完成像に置き、同腹のBananaやEnchiとの違いを記録すると、次にClownやPiedへ進める際の選択基準を作れます。
メスを残したい計画とmaker確認
バナナ入りのメスを将来の親に残したい場合、確認済みfemale makerのオスやバナナのメスを候補として比較します。ただし少数の卵から希望する性・構成が得られる保証はありません。未検証のオスを、色や販売名だけでfemale makerに数えません。
掲載個体3には親情報、誕生日、makerの説明が掲載されていません。繁殖親候補として考える場合は、その情報を確認してから計画へ組み込みます。possYBを確定YBとして必要構成に数えないことも大切です。
健康・繁殖上の注意
バナナ特有の病気と断定しない
今回確認した資料の範囲では、Banana/Super Banana単体に特有の疾患を原因変異まで結び付けて確定した査読研究は確認できませんでした。これは、どの個体・コンボも健康だと保証する意味ではありません。
成長に伴うそばかすはモルフの外観として記載されていますが、盛り上がり、傷、腫れなどを伴う変化まで同じものと判断しません。いつからあるか、脱皮後にも残るかを写真で記録し、異常があれば爬虫類を診る獣医師に確認します。
Scarecrowを次の親に使うときの注意
ScarecrowにはSpotnoseが含まれます。さらにSpotnoseを持つ相手を選ぶと、Super Spotnoseを得る可能性が出てきます。Super Spotnose/Power Ballには平衡・運動の異常に関する繁殖者の報告があり、Bananaを加えれば解消するという根拠はありません。【C:繁殖者による健康上の報告。発症率を示す査読研究ではない】Northwest Reptiles
ここでの注意は、Banana単体やすべてのScarecrowに同じ問題があるという意味ではありません。次の交配で生じうる構成を確認するための注意です。写真の美しさ、性別、国内CBという表示だけで、個体の繁殖適性までは判断できません。
歴史・由来
二つの呼称が広まった経緯
Coral GlowはKevin McCurley/NERD、BananaはWill Sloughの系統として紹介されています。Northwest ReptilesはCoral Glowの遺伝確認を2002年、Bananaを2003年と記載しています。【C:繁殖者による系統史の紹介】Northwest Reptiles
Will Slough本人の2003年5月6日の投稿「Banana-N-Eggs」には、繁殖で得た子と、全個体がhet Clownである旨が記されています。【C:当事者の当時の投稿】Will Slough(2003)
この投稿だけで、最初の野生個体の発見年や採集地、スーパー体の初作出まで一度に確定することはできません。古い「co-dominant」の言い方も、当時の投稿と現在の遺伝形式の整理を分けて読みます。
繁殖者の観察が研究につながった形質
2016年には、Coral Glowの繁殖記録を使って性との連鎖が査読論文で検討されました。makerという経験的な呼び分けに対し、組換えを含む遺伝モデルが提示されたことが、このモルフの歴史上の特徴です。【A:研究史】Mallery・Carrillo(2016)
同年のJKRの作出記録には、ScarecrowなどClown系の発展例も見られます。黄色と紫色の単体から、模様の異なるコンボへ広がった歩みを確認できます。【C:作出者の記録】JKR・2016年の成果
不完全顕性(不完全優性)Incomplete Dominant
1 コピーでも見た目に出て、2 コピー揃うと「スーパー体」と呼ばれる別の見た目になります。業界で長く「共優性(Co-Dom)」と呼ばれてきた型です。
参考資料
- AA case study of sex-linkage in Python regius (Serpentes: Boidae), with new insights into sex determination in HenophidiaChristopher S. Mallery Jr.; Maira M. Carrillo ・ 2016
- ALevel of TFEC gene expression in piebald variants of ball python (Python regius)T. Sophonnithiprasert; R. Kumsiri; P. Kanchanaphum ・ 2026
- CBall Python Morph: Coral GlowTom / Northwest Reptiles ・ 2015
- CThe Banana Ball Python (Coral Glow) MorphUltimate Exotics ・ 2015
- CBanana-N-EggsWill Slough ・ 2003
- CJKR’s 2016 Greatest Hits – Part 1 – ClownsJustin Kobylka ・ 2017
- CBreeding ProjectsLowcountry Reptiles
- CBall Python Birthing RecordParpart’s Pythons ・ 2025
- CBreedingDM Exotic Pets / Kevin Devastian
- CBall Python Genetic Behaviors and Morph Breeding OdditiesTom / Northwest Reptiles ・ 2020
- CパステルレッサーキャリコバナナクラウンpossYB・掲載個体3AniLover
